上司はなぜ指導をためらうのか|ハラスメント時代のマネジメントを考える
先日、公開直後の映画「黒牢城」を観てきました。公開前から大きな話題を集めていた作品ですが、単なる歴史映画ではなく、斬新な切り口で描かれる重厚なストーリーに引き込まれました。また、現在視聴している大河ドラマと同じ時代が舞台となっていることもあり、歴史上の人物や出来事を重ね合わせながら楽しむことができました。さらに、同じ俳優が大河ドラマとは異なる主要な役柄を演じている点も印象的で、そのギャップも作品の見どころの一つでした。

では、今日の話題です。
・3割以上が、「上司が自分に対して『遠慮している』『過度に気を使っている』と感じる」と回答
・上司が自分に対して「遠慮している」「過度に気を使っている」と感じる場面:
1位「ミスや間違いを指摘するとき」、2位「自分のプライベートなことを聞くとき」・7割が、「上司に過度に遠慮しないコミュニケーションを望む」と回答
ジェイック「上司に遠慮されていると感じていることに関するアンケート調査」
https://www.jaic-g.com/news/pressrelease/260602/
株式会社ジェイックが実施した「上司の遠慮に関する意識調査」では、約3割の若手社員が「上司が遠慮していると感じたことがある」と回答する一方で、約7割が「率直な指導やフィードバックを受けたい」と考えていることが明らかになりました。近年はハラスメント防止意識の高まりを背景に、管理職が部下への注意や指導をためらう場面も増えていますが、今回の調査は「厳しく指導しないこと」が必ずしも若手社員の満足につながるわけではないことを示しています。
労務管理の視点から見ると、企業にはハラスメントを防止する責任がある一方で、必要な指導まで避けてしまうことは、組織運営上の新たな課題と言えます。本来、ハラスメントと業務上必要な指導は明確に区別されるべきものですが、近年は「少し厳しく言うだけでも問題になるのではないか」と不安を抱える管理職も少なくありません。その結果、注意すべき場面でも曖昧な伝え方になったり、評価や改善点を十分に伝えられなかったりするケースも見受けられます。
一方で、最近の若年層は「何も言われないこと」を必ずしも望んでいるわけではありません。むしろ、自分の成長につながる具体的なアドバイスや、評価の理由を丁寧に説明してほしいという傾向が強まっています。厳しい言葉ではなくても、納得感のあるフィードバックを継続的に受けることで、自身の成長や会社への信頼につながると考える若手社員は少なくありません。
北海道十勝の企業でも、人材確保が難しい状況が続く中、せっかく採用した若手社員をいかに育成・定着させるかが重要な経営課題となっています。地方の中小企業は経営者や管理職と従業員の距離が近いという強みがありますが、その反面、「嫌われたくない」「辞められたくない」という思いから必要な指導を控えてしまうケースもあるようです。しかし、適切なコミュニケーションを積み重ねることは、こうした環境だからこそ実践しやすいとも言えます。
企業として重要なのは、「指導するか、しないか」という二者択一ではなく、「どのように伝えるか」という視点です。管理職に対するハラスメント研修だけでなく、適切なフィードバックやコーチング、面談スキルを高める教育を進めることで、安心して指導できる職場づくりにつながります。今回の調査は、ハラスメントを恐れて指導を控えることが必ずしも従業員のためになるわけではなく、信頼関係を築くためには、相手を尊重しながら率直に対話するマネジメントが、これからますます重要になることを示していると言えます。
