【第20回】休職制度の運用でトラブルになりやすいポイントとは?注意すべき実務対応の留意点
近年、メンタルヘルス不調による長期療養や、がん治療と就労の両立支援などへの対応が求められる場面が増えており、就業規則上の休職規定の重要性が高まっています。休職制度は法律上必ず設けなければならない制度ではありませんが、長期欠勤者への対応や復職判断を適切に行うためには、あらかじめ明確なルールを整備しておくことが重要です。
実務上まず重要となるのが、「どのような場合に休職に入るのか」という基準を明確にしておくことです。例えば、一定期間連続して欠勤した場合だけでなく、断続的な欠勤が続き、就労継続が困難と判断される場合にも休職の対象とする規定を設けておくことで、実態に応じた運用がしやすくなります。特にメンタルヘルス不調の場合には、出勤と欠勤を繰り返すケースも少なくないため、連続欠勤のみを前提とした規定では対応が難しい場合があります。
また、休職発令日を本人へ明確に通知していない場合には、後にトラブルとなることがあります。休職期間の起算日は、満了日や自然退職・復職判定の時期にも影響するため、会社としては休職開始日を書面等で明確に通知し、記録として残しておくことが望ましいといえます。
さらに、復職に関する判断基準についても注意が必要です。単に「主治医が復職可能と判断した場合」とだけ規定していると、会社側との認識にズレが生じることがあります。実務上は、従前業務を安定的に遂行できる状態に回復しているか、一定期間継続勤務が可能と見込まれるかなど、会社としての判断要素を整理しておくことが重要です。必要に応じて、産業医や主治医の意見を踏まえながら慎重に判断することも求められます。
加えて、復職後に短期間で再度同様の傷病により欠勤となるケースに備え、休職期間の通算規定を設けておくことも実務上有効です。例えば、復職後一定期間内に同一または類似の傷病で再度就労困難となった場合には、前回の休職期間と通算する取扱いを定めておくことで、休職制度の長期化や運用の不安定化を防ぎやすくなります。
休職制度は、従業員の療養機会を確保する一方で、会社にとっても適切な労務管理を行うための重要な制度です。制度趣旨を踏まえながら、休職開始・復職判断・期間満了時の取扱いなどについて、実態に即したルールを整備しておくことが、円滑な運用と労務トラブル防止につながるといえます。
