人材確保と賃上げの狭間で、十勝の企業に求められる視点とは

 昨日、札幌のきたえーるで行われたレバンガ北海道の試合を観戦してきました。対戦相手は、リーグ屈指の強豪である宇都宮ブレックス。接戦を予想していましたが、試合は序盤からレバンガ北海道が主導権を握り、そのまま点差を広げて見事な勝利となりました。そして、この日は宇都宮ブレックスから、日本人初のNBAプレーヤーとして知られる田臥勇太選手も出場。会場からは相手チームの選手とは思えないほど大きな歓声が上がり、田臥選手が華麗なプレーで得点を決めた場面では、敵味方を超えて会場全体が盛り上がっていました。レバンガ北海道の勝利はもちろんですが、自分がバスケをしていた学生時代のレジェンドともいえる田臥選手のプレーを生で見ることができ、大変興奮した一日となりました。

 では、今日の話題です。

・賃上げ実施率はコロナ禍の2020年度を底に回復し、5年連続で80%台をキープ

・賃上げ内容の最多は「定期昇給」 「ベースアップ」は2番目の実施率

・コロナ禍以降、実施率の格差広がる

・ベースアップ実施率トップは運輸業

・2023年度以降は3%以上の賃上げ率が定着

東京商工リサーチ「2026年度「ベースアップ」に関するアンケート調査」

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202623_1527.html

 東京商工リサーチが公表した「2026年度『ベースアップ』に関するアンケート調査」では、2026年度に賃上げを予定する企業は83.6%と高水準を維持する一方、ベースアップ実施予定は46.8%と前年から低下し、「5%以上」の賃上げ割合も減少傾向にあることが示されました。企業全体として賃上げへの意識は高いものの、原材料費やエネルギー価格の高騰、価格転嫁の難しさなどから、いわゆる賃上げ疲れとも言える状況が広がっている実態がうかがえます。

 社労士事務所としても、近年は顧問先から「他社はどの程度昇給しているのか」「ベースアップを実施すべきか」といった相談を受ける機会が非常に増えています。特に人材確保が難しい業種では、採用競争力や既存従業員の定着を意識して賃上げを検討する企業が増えている一方、実際には「継続して上げ続けられるのか」という不安の声も少なくありません。

 労務管理の視点から見ると、今回の調査は「賃上げ実施率」だけではなく、その持続可能性に注目すべき内容と言えます。大企業ではベースアップや初任給引き上げを進める動きが目立つ一方、中小企業では固定費増加への警戒感が強く、賞与や手当による一時的対応で調整するケースも多く見られます。実際、価格転嫁が十分に進まない中小企業ほど、「受注の先行き不安」や「既往債務の返済負担」を理由に賃上げに慎重な姿勢を示しており、企業規模による体力差も鮮明になっています。

 また、単純な賃金引き上げだけでは人材定着に直結しないケースも増えています。近年は、賃金だけでなく、労働時間、休日・休暇の取りやすさ、柔軟な働き方、評価制度への納得感など、総合的な職場環境を重視する傾向が強まっています。そのため、企業としては「いくら上げるか」だけではなく、「どのような考え方で処遇を決定しているか」を従業員へ丁寧に説明する姿勢も重要になっています。

 北海道十勝のような地方では、都市部との人材競争が強まる中、単純な賃金競争だけでは限界があります。特に地域の中小企業では、賃上げの原資確保が容易ではない一方、働きやすさや地域とのつながり、職場の安心感といった「地域企業ならではの価値」をどう打ち出すかが重要になります。持続可能な賃上げと働きやすい職場環境の両立をどう実現するかが、今後の十勝の企業にとって大きな経営課題になっていくことが考えられます。