【第16回】労働条件変更時の通知と実務上の考え方
労働条件通知書は、労働基準法第15条に基づき、労働者を採用する際に、その時点における労働条件を明示するために交付する書面です。そのため、入社時に適正な内容の労働条件通知書を交付していれば、その後に労働条件の一部が変更された場合であっても、労働条件通知書をあらためて作成・交付し直さなければならないという法的義務はありません。
ただし、賃金、労働時間、業務内容、就業場所などの労働条件に変更が生じた場合には、その変更内容について労働者に明示する必要があります。この明示方法は、必ずしも労働条件通知書による必要はなく、変更通知書や個別の書面、電子メールなど、内容が客観的に確認できる方法であれば差し支えありません。
実務上重要となるのは、変更後の労働条件について、労使双方の認識に齟齬が生じないよう、変更内容とその時期を後日確認できる状態で残しておくことです。特に、賃金や労働時間といったトラブルになりやすい項目については、書面または電子データとして記録を保存する運用が望ましいといえます。
労働条件通知書は、あくまで採用時に交付することが基本であり、労働条件の変更が生じるたびに、同書面を再交付することまでは求められていません。この点を正しく理解した上で、労働条件変更の際には、内容や状況に応じた適切な通知方法を選択することが重要となります。
