【第12回】最低賃金と割増賃金における「含める賃金」の違い
最低賃金に含まれる賃金と、割増賃金の基礎となる賃金は、いずれも「賃金計算に含めるかどうか」という点で混同されやすいものですが、その考え方には明確な違いがあります。会社としては、それぞれのルールを正しく理解し、誤った計算による法令違反を防ぐことが重要です。
まず、最低賃金については、最低賃金法により、一部の賃金は計算の対象から除外されると定められています。具体的には、次の賃金が除外されます。
・時間外、休日および深夜の割増賃金
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
・精皆勤手当
・通勤手当や家族手当などの生活補助的な手当
一方、割増賃金の単価を計算する際には、労働基準法により、除外できる賃金の範囲が定められています。具体的には、次の7種類の賃金が除外可能とされています。
・家族手当
・通勤手当
・別居手当
・子女教育手当
・住宅手当
・臨時に支払われる賃金
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金
このように、最低賃金と同様に、生活補助的な手当は割増賃金の基礎から除外されますが、最低賃金では除外される精皆勤手当が、割増賃金の基礎には含まれる点が大きな違いとなっています。
なお、住宅手当については、最低賃金の計算には含めることができる一方で、割増賃金の単価からは除外することが可能です。ただし、割増賃金の基礎から除外できる住宅手当は、支給額が一律に決められているものではなく、実際の住宅費用の負担状況に応じて支給額が定められているものに限られます。また、その他の手当についても、名称のみで判断されるものではなく、その支給目的や支給実態に基づいて判断されることになります。
最低賃金と割増賃金では、含める賃金の範囲が似ているようで異なります。支給している手当の内容や実態を改めて確認し、整理しておくことが、法令遵守とリスク管理の観点から重要といえます。(以下、厚生労働省のページもあわせてご参照ください)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/chingin/newpage_43898.html
https://jsite.mhlw.go.jp/toyama-roudoukyoku/content/contents/002060956.pdf
