【第24回】副業・兼業はどこまで認める?企業が押さえておきたい実務上のポイント
働き方の多様化や人材確保の観点から、副業・兼業を希望する従業員が増えています。かつては「本業に支障が出る」「情報漏えいのおそれがある」といった理由から、副業・兼業を原則禁止とする企業も少なくありませんでした。しかし現在では、副業・兼業を一律に禁止するのではなく、一定の条件を設けたうえで認める企業が増えてきています。
副業・兼業については、法律上、企業が無条件に認めなければならないというものではありません。一方で、合理的な理由なく全面的に禁止するのではなく、企業として懸念される事項を整理し、一定の条件のもとで承認・許可する仕組みを設けることが実務上の対応として一般的になっています。
例えば、会社の業務に支障を及ぼすおそれがある場合、企業秘密や顧客情報が漏えいするおそれがある場合、競業により会社の利益を害する可能性がある場合、長時間労働につながり健康管理上の問題が生じる場合などについては、副業・兼業を制限することが考えられます。そのため、単に「副業を認める・認めない」ではなく、どのような場合に認めないのかを明確にしておくことが重要です。
実務上は、就業規則等で副業・兼業に関する基本的なルールを定め、事前の届出や会社の承認・許可を必要とする方法が多く見られます。申請時には、副業先の事業内容、業務内容、勤務日数や時間などを確認し、自社の業務への支障や競業、情報漏えい等の問題がないかを判断できるようにしておくことが重要です。また、許可後に事情が変わった場合に備え、変更時の届出や会社による見直しについても定めておくことが望まれます。
特に注意したいのが労働時間の管理です。副業先でも雇用されている場合には、自社と副業先の労働時間を通算して考える必要が生じる場合があります。(今後の労働基準法の改正により、取り扱いが変更になる可能性があります)一方、個人事業主として行う副業など、働き方によって労働時間の取扱いが異なる場合もあるため、形式だけで判断しないことが必要です。
また、副業・兼業を認める場合には、情報管理についても十分な対策が必要です。会社のパソコンやメール、顧客情報、営業秘密などを副業に利用することがないよう、情報の持ち出しや利用を禁止するルールを明確にしておくことが重要です。特に同業他社での副業については、競業避止の観点から慎重な判断が求められます。
副業・兼業は、従業員のスキルアップやキャリア形成、人材確保などにつながる可能性がある一方、労働時間、健康管理、情報漏えい、競業など、企業側が管理すべき課題もあります。今後は「原則禁止」という一律の対応ではなく、一定の条件を設けた承認・許可制などにより、企業と従業員双方にとって適切な範囲で認めるという考え方が重要となります。自社の実情に合わせてルールを整備し、実際の運用まで含めて定期的に見直すことが大切です。
