【第15回】労働基準法上の管理監督者の考え方と実務上の注意点
労働基準法上の管理監督者とは、労働時間・休憩・休日に関する規定の適用が除外される「経営者と一体的な立場にある者」を指します。ただし、この制度を適正に運用するためには、単に役職名だけで判断するのではなく、実態としてその要件を満たしているかという観点から、該当性を厳格に判断することが求められます。
具体的な判断基準として、第一に、経営上の重要事項への参画や、人事・労務管理において広範な裁量と決定権限が付与されていることが挙げられます。第二に、出退勤時刻について厳格な管理を受けることなく、自らの裁量で決定できるなど、勤務態様に一定の自由が認められていることが必要です。そして第三に、時間外労働規制の適用が除外されることへの代償措置として、一般従業員と比較して十分に優遇された、地位にふさわしい賃金待遇が確保されていることが重要な要素となります。
これらの要件を実態として満たしていないにもかかわらず、会社の判断のみで管理監督者として扱っている場合には、「名ばかり管理職」と認定される可能性があります。その結果、過去に遡って未払残業代の支払いを命じられるなど、企業にとって極めて大きな法的リスクを負うことになります。
なお、管理監督者であっても、深夜労働(午後10時から午前5時)に対する割増賃金の支払義務や、年次有給休暇の付与義務は免除されません。また、会社は労働安全衛生法に基づき、管理監督者の労働時間の状況を正確に把握し、長時間労働による健康障害を防止するための安全配慮義務を負っています。特に長時間労働が認められる場合には、医師による面接指導を実施するなど、適切な健康管理措置を講じる必要があります。
管理監督者制度を適法かつ安全に運用するためには、権限と責任の明確化、ならびにそれに見合った待遇の確保が重要なポイントとなります。現在、管理監督者制度を運用している場合には、制度の内容や実態をあらためて整理し、法令上の要件を満たしているかを再確認してみることが重要といえるでしょう。
