【第13回】内定取消しは簡単にできない?法的リスクと企業が注意すべきポイント
会社からの内定は、形式上は「採用内定通知」として交付されることが一般的ですが、法的には「始期付解約権留保付労働契約」と解されています。つまり、入社日を契約の始期とし、健康状態や経歴等に重大な虚偽があった場合など、限定された事由に限って企業が解約できる労働契約という位置づけです。このため、内定取消については解雇に準じた法的規制が及び、客観的合理性および社会的相当性が認められない場合には、内定取消が無効と判断されるリスクがあります。
内定取消が有効とされ得るケースとしては、応募者による重大な経歴詐称や資格要件の欠如、または業務遂行が明らかに困難となるような重大な健康上の支障が判明した場合など、例外的な事情に限られます。一方で、業績悪化や人員調整など企業側の都合による取消しについては、整理解雇と同様に厳格な要件(①人員削減の必要性、②解雇回避努力、③人選の合理性、④手続の妥当性)を満たさなければ、違法と判断される可能性が高くなります。
近年では、内定取消は法的リスクにとどまらず、社会的信用の低下というリスクも無視できません。学生・求職者や大学、紹介機関に大きな不信感を与えるだけでなく、採用ブランドに長期的な悪影響を及ぼすおそれがあります。また、SNS等による情報拡散により、企業イメージが一気に毀損される可能性も高まっています。
企業としては、内定通知前に健康診断の実施、資格・経歴の確認等を十分に行い、内定取消に至る事態を可能な限り回避することが重要です。やむを得ず取消を検討する場合には、十分な事実調査と法的根拠の整理を行ったうえで、本人に対して丁寧かつ誠実な説明を尽くすことが、紛争防止の観点からも不可欠といえるでしょう。
