【第9回】労災事故発生時の基本的な手続きと注意点
労災事故が発生し、被災した労働者が病院を受診する場合には、受診先の病院や薬局に対して、労災である旨を伝えます。そのうえで、事後速やかに「療養補償給付支給申請書」を病院(薬局)経由で労働基準監督署へ提出します。この手続きを行うことで、医療費は現物給付となり、窓口での自己負担は不要となります。
その後、被災した労働者について4日以上の休業が見込まれる場合には、労働基準監督署へ「死傷病報告書」を遅滞なく提出する必要があります。死傷病報告書は、労災事故の発生を監督署に報告するための書類であり、保険給付の請求書とは異なる性質のものです。提出された内容をもとに、監督署が労災事故の状況について調査を行うこともあります。
労災による休業が4日以上となり、その期間について給与が支給されない場合には、休業4日目以降について「休業補償給付」を請求することができます。この給付により、直近の平均賃金の8割相当額(特別支給金を含む)が、労働者本人に支給されます。請求にあたっては、労務不能であることについて、受診している医療機関の証明が必要となります。
なお、通勤災害の場合も、業務災害と同様に労災保険の手続きを行いますが、使用する書式は異なります。また、通勤災害については、4日以上の休業となる場合であっても、死傷病報告書の提出は不要です。さらに、業務災害の場合には、休業開始から3日目までについて、事業主が平均賃金の6割以上の休業補償を支払う必要がありますが、通勤災害の場合には、この休業補償の支払い義務はありません。これは、通勤災害については、業務災害とは異なり、事業主が労災補償責任を負わないとされているためです。
