早期離職1名あたり「640万円」の損失|地方企業が考えるべき採用と定着のプロセス

 先日、小樽へ旅行した際に運河クルーズを体験してきました。小樽はとても好きな街なので何度も来ているのですが、運河クルーズに乗ったのは今回が初めてでした。運河と小樽港を船で巡る約40分間のクルージングは、趣きのある街並みを眺めつつ、小樽の歴史や運河の成り立ちの説明を聞きながらの乗船で、予想以上に楽しめました。小樽や函館のような歩いて観光できる街は魅力的ですね。(写真は船の上からの撮影です)

 では今日の話題です。

「早期離職」に関する実態調査
入社から半年で早期離職が発生した場合、企業の損失額は「640万円」。
早期離職経験者は31%。後悔の最多は「転職活動が大変になった」。
ー『エン転職』ユーザーアンケートー

結果 概要
31%が入社から半年以内の「早期離職」を経験。うち、後悔した方は20%。後悔した理由は「転職活動が大変になった」が最多。
早期離職した際の職種、上位は「営業系」「バックオフィス・事務系」。
早期離職の理由、上位は「入社前に聞いていた情報と違った」「ハラスメントに遭った」。44%が「事前にネガティブな情報も聞けていれば、早期離職をしなかった」と振り返る。
入社から半年で早期離職が発生した場合、企業の損失額は「640万円」。

https://corp.en-japan.com/newsrelease/2025/42845.html

 今回のエン・ジャパンの最新調査報告によりますと、「入社から半年以内の早期離職があった場合、企業の損失額は1名あたり約640万円にのぼる」と試算されています。

 この数字は、単なる人件費や採用コストのみならず、教育研修費、管理職の面談や引き継ぎ費用、さらには在籍期間中の給与や社会保険負担までを含めた「総コスト」を加味したものとなりますが、総額で640万円という試算は、採用を行った会社側としては軽視できない損失と言えます。

 これを、中小企業が多い十勝における地方企業の視点から考えると、そのインパクトはさらに大きくなります。十勝管内では大都市圏と比べて人材採用の機会が限られ、求人自体も少なめであることもあり、転職希望者の流動性も低く、一度離職者が出ると新たな採用活動・再教育に相当な時間とコストを要する可能性が高いといえます。採用活動の内容や給与水準を考慮すると都市部と比べ試算額はやや低くなることも考えられますが、こうした地方企業で「1人あたり640万円の損失」が発生すれば、会社の収益に与えるダメージは決して小さくありません。

 また、今回の調査では早期離職の理由として、「入社前に聞いていた情報と違った」(約38%)、「ハラスメントなど職場環境がよくなかった」(約30%)といった“入社前後のギャップ”や“職場の人間関係・環境”が多く挙げられています。

 この調査結果から考えると「採用・面接でいかに人材を集めるか」だけでなく、「入社後どれだけ職場環境や情報公開を整備し、ミスマッチを防ぐか」が、企業の損失防止における肝であると言えます。特に北海道・十勝のような地方の中小企業では、優秀な人材を採るチャンスが限られる分、採用ミスマッチや早期離職によるロスを許容すると、その後の事業展開にも大きな影響が出る危険があります。

 「640万円」という損失額は都市部の状況も含めた試算額とも言えますが、十勝といった地方においても早期離職に対する会社の損失額が大きいことは明らかです。早期離職者が多いと感じている場合に、採用から定着までのプロセスを見直すことは、企業運営を考えるうえで今後ますます重要になってくると言えます。