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出産育児一時金42万円を恒久化へ

 出産一時金「42万円」恒久化へ 厚労省、引き下げ困難と判断

 厚生労働省は14日、今年度末で4万円上乗せの暫定措置が切れる「出産育児一時金」について、来年度以降も「原則42万円」を維持し、恒久化する方針を固めた。出産費用が高額化していることなどから、支給水準を再び下げるのは実態にそぐわないと判断した。妊婦が出産費用を立て替え払いしないで済む医療機関への直接支払制度も継続する。次回の社会保障審議会医療保険部会に提示する。

 現在の出産一時金は「原則38万円」だが、政府は少子化対策の一環で昨年10月から来年3月までの特例として4万円上乗せし、42万円を上限に支給している。

 厚労省が来年度以降も給付水準を下げない方針を固めたのは、同省が行った実態調査(8月時点)で、出産費用の全国平均が47万3626円、下位25%の平均でも42万円超かかっていることが明らかになったため。出産一時金は少子化対策としても一定の効果があり、「最低でも現行水準は維持せざるを得ない」(幹部)と判断した。

 だが、4万円上乗せを維持するには、来年度予算で平成22年度予算の182億円と同水準の財源が必要となる。上乗せ分については国民健康保険は半分、健康保険組合と協会けんぽは30~53%が国庫補助となっているが、残りはそれぞれ保険料が充てられている。

 厚労省は各保険運営主体に対し、22年度と同程度の負担を求めていく考え。だが、負担増となる企業側などからは反発も出ており、負担割合をめぐる調整は難航も予想される。

 一方、直接支払制度については、資金繰りなどの対応が難しい小規模の医療機関などがなお存在していることから、23年度の全面実施は見送る方針。事務手続きの簡素化などを通じて普及を図る。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101015/plc1010150200001-n1.htm?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

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 出産育児一時金の4万円増額は暫定措置という位置づけでしたが、元に戻すというのは今の現状にそぐわないといえます。出生率も現状維持か地域によっては微増という結果もある中、ここで減額してしまうとこうした動きに逆行してしまうことになりかねません。ただ、健康保険制度からの負担についてはどの制度についても財政悪化が顕著ですので、こちらについては議論を進める必要があると思います。

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従業員を無休で働かせ、労基法違反容疑で書類送検

 従業員を無休で働かせる 労基法違反容疑で社長ら2人書類送検 さいたま労基署

 従業員に休日を与えず働かせたとして、さいたま労働基準監督署は13日、労働基準法違反の疑いで、新座市北野の清掃業「山大物産」と、同社業務部の男性次長(50)、同社男性社長(64)をさいたま地検に書類送検した。

 さいたま労基署の調べでは、次長は5月30日から6月26日までの間、法定の除外事由なく男性清掃作業員=当時(35)=に休日を与えずに働かせ続けさせ、社長は作業員が休まずに働かされているのを知りながら、措置を講じなかった疑いが持たれている。

 さいたま労基署によると、作業員は6月29日午前4時50分ごろ、千葉県習志野市香澄の東関東道湾岸習志野インターチェンジ(IC)の料金所を出てすぐの合流路に停車していたトレーラーに追突し、全身を強く打ち死亡した。作業員は事故日まで、4月1日から86日間にわたって無休で働き、この日も現場に向かう途中だった。2人は「熟練した技能者で、休みがないのを知りながら働かせてしまった」と供述しているという。同労基署は、86日間のうち法定除外事由のない期間について立件した。

 山大物産は「責任者不在のため答えられない」としている。

http://stj.sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/101013/stm1010131404003-n1.htm

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 記事を見る限り、過重労働という言葉では済まされないぐらいの就労内容ですね。景気が低迷する中、社員を増員せず、在籍する社員のみで多くの仕事をこなそうとする結果、過重労働となってしまっているケースも最近よく聞きます。一時流行っていたワークライフバランスという言葉も最近聞くことがちょっと少なくなりましたが、会社は自社で働く従業員に対して、安全配慮義務を負っていますので、過重労働にならないような労働環境を整備するとともに常に従業員の様子に気を配る必要があるといえます。

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雇用調整助成金の支給要件を緩和

 雇用助成金、支給要件緩和=円高対策で12月から-厚労省

 厚生労働省は8日、企業に雇用維持を促すため国が休業手当を補てんする「雇用調整助成金」に関し、支給要件を緩和すると発表した。対象は円高の影響で生産量が減少した企業。助成金の支給要件緩和は同日閣議決定した緊急総合経済対策に盛り込まれており、12月から適用する。
 助成金は、最近3カ月の生産量の平均が「前年同期比5%以上減少」した場合に支給している。12月からは、生産量の平均が「円高の影響で3年前の同時期に比べ15%以上減少し、直近の決算が経常赤字」の企業にも適用する。

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%b8%db%cd%d1%c4%b4%c0%b0%bd%f5%c0%ae%b6%e2&k=201010/2010100800727

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 雇用調整助成金の支給要件がさらに緩和されるようです。この助成金自体は以前からずっとあったのですが、リーマンショック後に内容が大幅に変更され、多くの企業で活用されるようになりました。その後要件緩和も何度かされていますが、今回さらに要件が緩和されます。この助成金は会社がやむを得ず従業員を休業させる際の補償を補助するという内容のものですので、この助成金を活用する企業がまだ多いということは、景気の低迷からなかなか抜け出せない日本経済の現状を表しているともいえます。
 
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派遣労働者が24%減 2009年度

 派遣労働者:24%減 金融危機、雇い止め影響--09年度

 厚生労働省は6日、派遣会社の事業報告に基づき、09年度に派遣労働者として働いた人は前年度から24・3%減り、301万9521人だったと発表した。企業側の使いやすさから増え続け、製造業への派遣が解禁された04年以降急激に数を伸ばしてきたが、08年秋のリーマン・ショックによる「派遣切り」や「雇い止め」、労働者派遣法改正を見込んだ他の雇用形態への移行などで急減したとみられ、制度変更に伴って集計方法が変わった04年度を除くと86年度の調査開始以来初の減少となった。

 労働者派遣を行った事業所の09年度の報告書を基に集計した。派遣を行った事業所数は7万1560カ所(前年度比7・7%増)。労働者数は、短期・長期の派遣契約を繰り返す常用型派遣が95万8765人(同18・5%減)、日雇い派遣を含めて仕事がある時だけ雇用される登録型派遣の登録者が206万756人(同26・7%減)だった。

 労働者派遣を巡っては、通常国会で継続審議となった労働者派遣法改正案に関し、政府は臨時国会での審議入りを求めているが、自民党などは過度の規制強化になるなどとして改正案に強硬に反対している。ただ、悪質な違法派遣は根強く残っているほか、労働基準法が適用されない個人請負や業務委託などの雇用形態も増えており、労働界からは、派遣法改正案を成立させ、さらに他の有期雇用関係の法整備を求める声が出ている。

 派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「景気が安定し、下請け企業を中心に再び派遣を受け入れる傾向にある。ここで規制しなければ、派遣切りが再燃する可能性もあり、成立させることが必要だ」と話した。

http://mainichi.jp/life/today/news/20101006dde001020017000c.html

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 派遣労働者減少の記事ですが、この減少傾向は一時的なものではなく、今後も続くのではないかと思われます。いずれ審議に入るであろう派遣法改正案が通れば、ますますその減少に拍車がかかると思われます。改正案が施行された場合、違法な派遣就業は減少すると思いますが、その分偽装請負等の派遣扱いを避ける動きが増えそうな懸念もあります。確かに製造業派遣の禁止となればその影響は大きなものとなりますが、違法な派遣や望ましくない就労状況を改善するためにはやむを得ないような気もします。
 
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大学卒業後3年間は新卒扱いに 文科相が要請

 「大卒3年間は新卒扱いに」高木文科相が経済団体へ要請

 大学卒業後少なくとも3年間は新卒扱いにすることなど緊急雇用対策への企業側の理解を求めるため、高木義明文科相が4日、主要な経済団体への採用活動の是正要請や意見交換をスタートさせた。

 この日は午前から、東京都内の日本商工会議所に岡村正会頭を訪ね、「卒業後3年間は新卒扱いとし、採用枠を少しでも広げるとともに就職活動の早期化の歯止めもお願いしたい」などと要望。岡村会頭は具体的な回答は避けたが、「できることがあれば最大限努力する」と述べた。

 高木文科相は同日午後に日本経済団体連合会へ出向いたほか、5日に経済同友会、15日に全国中小企業団体中央会への訪問も予定する。

 大学生の就職のあり方をめぐっては、文科省の諮問を受けた日本学術会議が8月、卒業後の最低3年間は「新卒扱い」にすべきなどと提言。政府も9月10日に「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」を閣議決定し、新卒者の緊急雇用対策の効果的な実施に取り組むことを盛り込んだ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/101004/biz1010041021004-n1.htm?utm_source=twitterfeed&utm_medium=twitter

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 新卒者の就職活動は厳しい状況が続いていますが、卒業年度の就職活動により就職が決まらなかった場合にその後の就職がさらに難しくなるという状況は好ましいものではないと思います。ただ、新卒扱いの枠を広げるのはいい案だと思いますが、実際に企業が採用枠を減らしているのは事実ですので、既卒者採用促進に対する具体的な政策がなければただ単に扱いを変更しただけに終わってしまいます。3年以内の既卒者を新卒扱いとした上での助成金の新設もされましたので、厳しい状況が続いている新卒者、既卒者の採用を推進していってほしいものです。
 
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8月の残業時間が8.9%増 毎月勤労統計調査

 8月の残業8.9%増=8カ月連続プラス-厚労省

 厚生労働省が4日発表した8月の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上の事業所)によると、企業の生産回復により、残業など「所定外労働時間」(1人平均)は前年同月比8.9%増の9.7時間と、8カ月連続で前年を上回った。「所定内労働時間」は1.5%増の134.6時間と2カ月ぶりのプラスだった。
 基本給にボーナス、残業代などすべてを合わせた現金給与総額(同)は、前年同月と同水準の27万4232円。内訳は残業代など「所定外給与」が10.8%増の1万8068円、基本給など「所定内給与」が0.1%減の24万4483円。

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%bb%c4%b6%c8&k=201010/2010100400161

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 こうした調査を見る限り少しずつ景気は回復しているように感じますが、やはり大企業を中心に良化していることは否めず、中小零細企業についてはまだまだ景気の回復を実感するには程遠い状況にあるといえます。特に地方においては、景気・雇用分野で問題が山積しており、状況が改善するにはまだ時間がかかりそうです。
 
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社会保険庁半年間で317人退職 批判に嫌気

毎日新聞(2008/1/30)より引用———-

<社保庁>半年で317人退職 批判に嫌気

 社会保険庁の07年度上半期(4~9月)の自己退職者が総定員1万6822人の1.9%にあたる317人に上り、通年度で過去最高となるのが確実なことが29日、明らかになった。多くは「窓口業務が苦痛」などを退職理由に挙げている。相次ぐ不祥事に対する批判がやまないことに加え、2年後に公務員の身分を失うことで、勤務を続ける意欲を失う職員が増加したと社保庁はみている。

 317人を年齢別に見ると、51~60歳が103人で最も多く、次いで中堅世代の31~40歳も100人に上った。政府は年金記録漏れ問題の解決をマンパワーで乗り切る意向だが、補充は進んでおらず、大量退職で人手不足に陥るのは必至だ。

 また、定年者も含めた07年度の退職金総額は142億円に上る見込み。このため、社保庁は当初予算で退職金がまかなえず、補正予算案に8億円の追加経費を計上した。退職者の急増で中央省庁が退職金を補正計上するのは極めて異例。

 自己退職者は毎年度100人台で推移してきたが、職員による有名人の年金記録のぞき見が問題となった04年度以降急増。05年度は307人になり、国民年金保険料の不正免除が発覚した06年度には391人になった。

 上半期で317人に上ったのは03年度以前の4倍以上の勢い。下半期に入っても同様の傾向が続いており、過去最高を更新するのは確実だ。

 一方、自己退職者急増の背景には昨年成立した社保庁改革関連法もあるようだ。同法は10年1月に社保庁を非公務員型の日本年金機構に移行させることが柱。庁内では公務員身分を失うことへの不安が高まっているという。

引用ここまで———-

 社会保険庁の退職者についての記事です。ねんきん特別便の送付内容等でさらに混乱を招いているように見える年金問題ですが、これに伴う社会保険庁の退職者もかなりの人数に上っているようです。ここまで年金関連の問題が続いたので社会保険庁への風当たりが強くなるのは当然なのですが、その批判の矢面に立つ窓口の方はちょっとかわいそうな気もします。過去のミスや担当違いの苦情を言われてもという気持ちもあるかもしれません。とはいえここまで問題が大きくなってしまえば、組織全体として混乱を沈静化させなければなりません。公務員の身分を失うことも決まっており、モチベーションが上がらないのも分かりますが、年金の事で困っている方の中には生活がかかっており、悲痛な思いの方もいます。こうした方のためにも大変だとは思いますが、頑張って欲しいと思います。

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イチゴ農家で中国人実習生と就労トラブル

毎日新聞(2008/1/29)より引用———-

<イチゴ農家>中国人実習生と雇用めぐりトラブル

 栃木県都賀(つが)町のイチゴ農園「長苺(ちょうぼ)園」が昨年12月、「不作で仕事がなくなった」との理由で中国人実習生5人を解雇し無りやり帰国させようとしたところ、「栃園(とちえん)会事業協同組合」(江田一之理事長)に加入する長苺園などイチゴ農家7軒(都賀、芳賀(はが)、二宮の3町)の実習生計15人が逃げ出し、逆に、過去3年の未払い賃金として計約5225万円分の支払いを求めるトラブルになっている。

 関係者の話を総合すると、15人は中国山東省と黒竜江省出身の男性で、05年春に農業研修生として来日。1年の研修後、今春までの2年の予定で農家7軒で働いていた。昨年12月9日、長苺園が「不作」を理由に勤務する5人に解雇を通知。警備員も同行させバスで成田空港まで連れて行き帰国させようとしてもみ合いになった。

 5人は外国人研修・技能実習生の支援をしている全統一労働組合(東京都台東区)に連絡して保護され、この日のうちに他の6農園の10人も合流した。

 各農園は同県の最低賃金(約670円)を下回る時給500円の残業代しか払っておらず、労組側は未払い賃金の返還とともに、5人の解雇撤回を求めている。長苺園は強制帰国について「行き過ぎがあった」と認めたが、「解雇は不当ではない」と反論。各農園は未払い賃金については減額を要求し、交渉が難航している。

 江田栃園会理事長は「優秀な実習生なら帰す必要はない」と、勤務態度がふまじめだったことを示唆する。一方、実習生の一人で黒竜江省ハルビン出身の張利民さん(34)は「奴隷のように扱われ、見下されている気がずっとしていた」と不満を訴えている。【外国人就労問題取材班】

 ◇指針、徹底されず

 法務省は昨年12月、外国人研修・技能実習生の受け入れ企業・団体に対して「研修手当や賃金の不払い」など不正行為を明記した指針を明らかにしたが、徹底されていない。

 冬から春は「とちおとめ」などイチゴ収穫の最盛期。実習生たちは朝5時に起床し、摘み取り、包装作業を午後10時ごろまで続けた。「農家に休みはない」と土日も働いた。

 栃園会加盟のある農園経営者(55)は、肉牛を飼育していたが、牛海綿状脳症(BSE)問題の影響で7000万円を借金した。再起をかけてイチゴ栽培を始め、安い労働力と考えて研修生を受け入れたという。

 この経営者は「法律の仕組みのことは、行政が教えてくれないと分からない」と残業代の一部が未払いになったことを弁解する。

 経営難は深刻だ。しかし、制度を利用する以上、企業同様に労働者として対応することが求められる。

引用ここまで———-

 外国人の研修・技能実習制度に関するトラブルについての記事です。外国人労働者については不法就労が問題となっており、雇用保険資格の取得、喪失手続の際にも昨年から在留資格、在留期間等を明示することになりました。この不法就労ととともに研修・技能実習制度についても経営者の知識不足によりトラブルが多発していると聞きます。今回の件でも労働組合側の主張が事実であるならば当然経営者側に問題があるといえます。労使間のトラブルは感情が入ることもあり、こじれることが多いですが、特に今回のような外国人の就労に関してはデリケートな問題でもありますので、解決へ向けて、きちんと話し合いをして欲しいと思います。

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マクドナルド、店長は管理監督者に非該当

毎日新聞(2008/1/28)より引用———-

マクドナルド訴訟 店長は非管理職 東京地裁が残業代認定

 ハンバーガーチェーン「日本マクドナルド」の店長が、管理職扱いされて時間外手当を支払われないのは違法として、同社に未払い残業代や慰謝料など計約1350万円の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は28日、約755万円の支払いを命じた。斎藤巌裁判官は「職務の権限や待遇から見て、店長は管理監督者に当たらない」と述べた。

 同社では正社員約4500余人中、約1715人(07年9月現在)が店長。チェーン展開するファストフードや飲食店では同様のケースが多く存在するとされ、判決は業界に影響を与えそうだ。

 訴えていたのは、125熊谷店(埼玉県熊谷市)店長、高野広志さん(46)。99年に別店舗で店長に昇格して以降、残業代が支払われなくなり、時効にかからない03年12月~05年11月の2年分について約517万円の支払いなどを求めた。

 労働基準法は時間外勤務に対する割り増し賃金の支払いを規定しているが、「管理監督者」は適用外になる。訴訟では、同社の店長が管理監督者に当たるかが争点だった。

 判決は管理監督者を「経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、賃金が優遇されている者」と判断。同社店長について、店舗責任者としてアルバイトの採用や会社のマニュアルに基づく運営など店舗内の権限を持つにとどまり、経営者と一体的立場とは言えないと認定。さらに、品質・売り上げ管理などに加え、調理や接客なども行うため、労働時間の自由裁量性は認められず、部下の年収を下回るケースもあるなど待遇が十分とは言い難いと指摘した。

 その上で未払い残業代約503万円を認め、労働基準法に基づきその半額について懲罰的な意味合いを持つ「付加金」の支払いを命じた。

引用ここまで———-

 本日大きく報道されていましたマクドナルドについての記事です。いわゆる労働基準法第41条、管理監督者についての裁判所の判断です。今までもこの管理監督者に該当するか否かについての裁判例はありましたが、この管理監督者については使用者の思惑とはずれがあり、経営者と一体的立場であると認められるのはなかなか難しいようです。裁判所はいくつかの判断基準により管理監督者に該当する場合を厳格に判断する傾向があります。今回のマクドナルドの裁判も今後、特に外食産業界において大きな影響を与えるものと思われます。

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改正最低賃金法が成立

日経新聞(2007/11/29)より引用———-

改正最低賃金法が成立、生活保護との逆転解消へ

 改正最低賃金法が28日の参院本会議で可決、成立した。最低賃金を決める際に「生活保護との整合性に配慮する」ことを明記して引き上げへの道を開いたほか、民主党の修正要求で「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるようにする」との文言を加えた。

 現在の最低賃金額は全国平均で時給687円。最低賃金で働いた場合の月収が生活保護の受給額を下回る「逆転現象」が東京など9都道府県で発生しており、働く意欲を阻害するとの指摘が出ていた。今回の改正を受けて逆転を解消すると、例えば東京都では現在の739円から800円程度に上がる。

引用ここまで———-

 久々の更新となってしまいましたが、最低賃金法改正についての記事です。以前から色々と議論されていた最低賃金法ですが、ついに成立しました。ワーキングプアという社会問題が発生し、生活保護を受けるよりも所得が少ないという問題を解決するためにも今回の改正は必要であったと思います。しかし、会社側にとってはこの改正により当然負担増を強いられることになります。景気の回復が実感できるようになれば別ですが、今の状態では中小零細企業にとってはかなり厳しい状況になるのではないかと思います。

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