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カテゴリー : メンタルヘルス

職場におけるメンタルヘルス対策を義務化 厚労省

 職場のメンタルヘルス対策義務化=臨時国会で法改正へ-厚労省

 小宮山洋子厚生労働相は24日、事業者に対し医師などによる従業員のメンタルヘルス(心の健康)チェックを義務付ける労働安全衛生法の改正案要綱を労働政策審議会に諮問した。労政審は同日の安全衛生分科会でこれを了承し、原案通り答申。改正案は今臨時国会に提出され、来年秋にも施行される見込みだ。
 厚労省は「東日本大震災を契機にメンタルヘルスが不調に陥る人の増加が懸念され、予防対策を充実させる必要がある」としている。
 仕事上のストレスが原因でうつ病などになる人が増えていることから、改正案は全従業員の精神状態の把握を事業者に義務化。検査結果は医師や保健師から従業員へ直接通知し、本人の同意を得ずに事業者に提供することを禁じる。
 従業員は希望すれば医師の面接指導を受けられる。事業者は面接指導を申し出た従業員に対し不利益な扱いをしてはならず、医師の意見を聞いた上で、必要であれば勤務時間の短縮や職場の配置転換などの改善策を取ることを求められる。
 改正案にはこのほか、職場の全面禁煙か空間分煙を事業者に義務付ける受動喫煙防止対策も盛り込んだ。(

http://www.jiji.com/jc/zc?key=%a5%e1%a5%f3%a5%bf%a5%eb%a5%d8%a5%eb%a5%b9&k=201110/2011102400853

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産業人の信頼低下が長期的に継続

産業人メンタルヘルス白書(2007/8/29)より一部引用———-

2007年版 『産業人メンタルヘルス白書』
産業人の「信頼」低下が長期的に継続~新しい信頼関係の確立が急務~

2.調査研究の概要(産業人の「信頼」の経年変化)
「信頼」がソーシャル キャピタルとして重要であることは共通の認識が得られている。一方で、社会的な‘信頼の欠如’を危惧する声も大きい。産業人の「信頼」の現状はどうか、またその要因について、JMI心の健康診断の蓄積データにより経年変化から検証を行った。

(1)産業人の「信頼」は低下している 
「会社の最高経営層に信頼感を持っている」(▲22%)、「職場の人はみんないい人だ」(▲17%)、「自分の思ったことはすなおに他人に話せる」(▲16%)など、信頼に関わる12質問項目からみた産業人の「信頼」は、1980年代前半に比べ低下してきている。

(2)産業界の世代交代は「信頼」の低下へと繋がっている 
「信頼」は時代の変化の影響を受けながらも、世代差を維持しながら推移している。世代が若くなるにつれ信頼は低下し、高信頼の世代が抜け、低信頼の世代が残ることで、産業界の平均的な信頼は低下している。2007年問題により、さらなる「信頼」の低下が懸念される。

(3)信頼に応え、能力育成を図ることが喫緊の課題 
経営への信頼を高めるには、経営が従業員の信頼にも社会の信頼にもしっかりと応えていくことが必要である。同時に、産業人が自己への信頼を高めるために、産業人の問題解決能力を育成することにより、問題山積の職場でも自己コントロール感をもって働くことが出来るようにすることが課題といえる。

引用ここまで———-

 ちょっと前のものですが、財団法人 社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所が発表した2007年産業人メンタルヘルス白書についてです。この内容をみると以前に比べ会社で人間関係が希薄化するとともに会社に対しての信頼感が低下しているのが分かります。こういったことも労働者の精神疾患が増えている理由なのかもしれません。世の中が便利になり、それほど人付き合いや人との関わりを持たなくても生きていける世の中になっていますが、やはりこういった問題も出てきますね。

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中小企業の従業員の1割が過去1年に自殺を考える

朝日新聞(2007/7/13)より引用———-

中小企業の従業員の1割が、「過去1年に自殺考えた」

 東京都内の中小企業の従業員の10人に1人が過去1年間に自殺を考えたことがあることが、厚生労働省の研究班(主任研究者=島悟・京都文教大教授)の調査でわかった。「実際に自殺をしようとしたことがある」と答えた従業員は2.2%。専門家は「高い数字だ。企業社会全体に抑うつ感が広がっているのではないか」と分析している。

 今年1月、大田区と千代田区の中小企業の本支社や工場など87事業場と、そこに勤める2890人にアンケートし、55事業場と従業員2181人から回答を得た。

 従業員調査では「過去1年間に死にたいと思ったことはあるか」との質問に、10.3%が「思った」と答えた。「頻繁に」が1.8%、「時々」が8.5%だった。

 「過去1年以内に、実際に自殺をしようとしたことがあるか」との質問には2.2%が「ある」と答えた。島教授は「これまで勤労者の0.1%前後に自殺企図歴があるとみられており、それに比べるとかなり高い数字だ」という。

 抑うつの自己評価尺度を用いた設問で「抑うつ状態」とみられる従業員の割合も25.6%にのぼった。これまでの調査では13~18%とされており、高い数値といえる。

 一方、各事業場の健康管理担当者への調査では、7.3%の事業場で過去1年以内に自殺未遂者が出ていた。心の健康問題で休業している従業員がいる事業場は14.5%だった。ただ、「メンタルヘルス対策が必要」と考える事業場が72.7%ある一方で、「対策を実施している」と答えたのは23.6%にとどまった。

 職場のメンタルヘルスに詳しい徳永雄一郎・不知火病院院長は「これだけの社員が自殺を考えているということを経営者は真剣に受け止めないといけない。個人や直属の上司の問題などととらえるのではなく、組織や経営の問題として考えるべきだ。今回の調査結果は、中小企業だけでなく大手企業にも当てはまると思う」と話している

引用ここまで———-

 昨日に続いてメンタルヘルス関係ですが、この調査結果はかなり衝撃的ですね。景気の改善が報告されている中、こうした状況が依然続いているのも日本の現状だと思います。記事の通り、メンタルヘルス対策の重要さは企業も認識してきているのですが、なかなか具体的な対策を打ち出すまではいっていないようです。自殺を考えている人だけでもこれだけいるのですから、そこまでいかなくても心の病で苦しんでいる人も相当数いるはずです。企業には従業員の変調に敏感になること、そして早めの対応を心がけることが求められると思います。

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心の電話相談への相談件数が21.9%増

独立行政法人労働者健康福祉機構発表(2007/6/26)より引用———-

「勤労者心の電話相談」(無料)に23,385件
-前年度比21.9%増、悩みの原因の第1は、職場での人間関係-

1 独立行政法人労働者健康福祉機構(理事長 伊藤庄平)では、労働環境の急激な変化に伴い、職場におけるストレスが増加していることや自殺者数が急激に増加していること(平成10年以降は3万人超で推移)等の状況を踏まえ、勤労者やその家族が抱える心の問題について助言等を行うため、平成12年から専門のカウンセラーによる「勤労者心の電話相談」を実施しています。相談者は電話により無料で相談できます。

2 平成18年4月から平成19年3月までの1年間に、全国20の労災病院※1に併設している勤労者予防医療センター及び勤労者予防医療部※2で実施した「勤労者心の電話相談」の相談件数や相談内容を取りまとめました。

3 取りまとめ結果
(1)勤労者及びその家族等からの相談件数は、23,385件(前年度の19,178件に比べ21.9%の増)となっています(図1)。
(2)相談内容は、① 職場の問題では、「上司との人間関係」に関する相談が2,228件と最も多く、次いで「同僚との人間関係」に関する相談が1,526件、「その他の職場における人間関係」に関する相談が1,289件となっており、職場における人間関係についての相談が多くなっています(図2)。
② 精神の問題(精神に関する自訴)では、「将来に対する不安感」が7,479
件と最も多く、次いで「落ち着けない」が5,843件、「イライラ・不安感」
が4,367件となっています(図3)。なお、「自殺念慮」は1,087件で
した。
③ 体調の問題(体調に関する自訴)では、「不眠」が2,268件と最も多く、
次いで「疲れやすい」が1,589件、「慢性的疲労感」が1,271件となっ
ています(図4)。
(3)相談者を年齢別に見ると、30代が20.3%と最も多く、次いで40代が18.8%、50代が13.3%となっています(図5)。
(4)横浜労災病院勤労者予防医療部では、電子メールによる相談を実施していますが、相談件数は、4,805件(前年度の3,929件に比べ22.3%の増)となっています。相談総数のうち20代の相談が385件でした。これは20代の相談件数1,441件の26.7%を占めています。

4 独立行政法人労働者健康福祉機構では、心の悩みを抱える勤労者の増加に対応するため、勤労者心の電話相談のほか、深刻な相談については対面型カウンセリング等も行っており、全国の労災病院の精神科、心療内科、勤労者メンタルヘルスセンター※3等の診療科とも連携し、勤労者のメンタルヘルス不全予防対策を推進しています。

引用ここまで———-

 メンタルヘルスについてです。メンタルヘルスについてはここ数年、労務管理分野においても注目されていますが、なかなか根の深い問題であると言えます。最近は心の病気に対する世間の抵抗も少しずつなくなってきており、心療内科等の増加による受診のしやすさにより統計上の精神疾患者が増えているとも言われます。しかしそれを考慮しても心の病で悩む方が増えているのは事実だと思われます。先進国で自殺者が増えているのも日本ぐらいだったと思います。その背景には社会不安、人間関係の複雑化・希薄化があり、そして過労によるストレスがそれに拍車をかけ、心の病を持つ方が増えているのだと思います。治療方法も色々とありますが、根本的な日本の社会の仕組みを変えることが一番の解決策になりえると思います。口で言うほど簡単なものではないのですが・・。心の病で悩んでいる方についてはまず今回の記事のような電話相談を利用して、心の内を打ち明けることが解決への第一歩になるのではないかと思います。

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過労自殺の労災認定57%増、過去最多の66人に

毎日新聞(2007/5/16)より引用———-

過労自殺:労災認定57%増、過去最多の66人 06年度

過労による精神障害などの労災認定件数と自殺者数の推移 長時間労働や仕事のストレスなど過労が原因の自殺(未遂を含む)で06年度に労災認定を受けた人が前年度比57.1%増と急増し、過去最多の66人に上ることが16日、厚生労働省のまとめで分かった。うつ病など精神疾患が認定された人も前年度比61.4%増の205人で過去最多。働き方の見直しが言われる中、労働者を取り巻く長時間労働が一向に改善されない状況が改めて浮き彫りになった。

 同省によると、過労自殺が認定された66人では50代が21人で最多、30代が19人、40代12人。

 うつ病など精神疾患の認定を受けた205人の内訳は30代が83人と際だって多く、次いで20代が38人、40代36人、50代33人。20、30代で約6割を占めた。職種は▽専門技術職60人▽事務職34人▽技能職33人--など。請求数の819人も過去最多だった。

 過労で脳出血や心筋梗塞(こうそく)などを発症した「脳、心疾患」の認定者355人(うち死亡147人)も過去最多だった。50代が最多の141人、次いで40代104人、30代64人。ここでも30代が目立って増えた。職種では運輸・通信職が最も多かった。残業時間では月80~100時間未満が最多の116人。100~120時間未満は101人で、前年度より大幅に増えており、長時間労働がより過酷になっていることが分かった。

 厚労省は「ノルマ達成など過大な仕事を求められる厳しい労働環境が、長時間労働につながっているのでは」と分析している。

 労働相談などを実施している日本労働弁護団の事務局次長、棗(なつめ)一郎弁護士は「若年労働者から、うつ病など心の問題の相談が増えている。今回の結果には、それが反映されている。長時間労働やリストラなどで雇用不安のストレスが高まっている。長時間労働の削減や安定雇用対策に取り組まない限り、過労労災を減らすことはできない」と話している

引用ここまで———-

 近年話題に上ることの多い過重労働による脳・心臓疾患、過労自殺の労災認定についてです。企業におけるメンタルヘルスの重要性が認識され、政府としても過重労働の削減に色々な対策を講じていますが、こうした結果を見る限り、状況は改善しているとはいえません。長時間の残業が常態化している企業では早々に労務管理の見直しが必要だといえます。過重労働の結果として精神疾患が発生した後、病院へ行かせる等の対策ももちろん必要ですが、それは対症療法に過ぎません。残業や休日労働の削減に対して、根本的に企業として対策を講じていくことが重要になってくると思います。日本の企業風土みたいなものもありますので、職場環境を変えるのは容易ではないと思いますが、過重労働による脳・心臓疾患や過労自殺が起こってしまってからでは遅いのです。よく言われる言葉ですが、ストレスのたまりやすい時代においての労務管理が必要になってきていると思います。

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