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カテゴリー : 年金

厚生年金未加入事業所、対策進まず

毎日新聞(2007/7/29)より引用———-

年金問題:厚生年金未加入、対策進まず 社保庁

 厚生年金の空洞化対策が進んでいない。社会保険庁は05年度、約12万5000の未加入企業を対象に、文書▽巡回▽呼び出し▽戸別訪問、と段階的に加入指導を強めたが、最も効果があった戸別訪問でも加入率は5.9%にとどまった。空洞化対策の切り札として同年度から始まった立ち入り検査も11件だけ。未加入対策はさらに、記録漏れ問題に多数の人手が取られる影響で行き届かなくなる恐れが出ており、昨年度の指導結果も公表に至っていない。

 社保庁は05年度、12万5757事業所に文書で加入を指導した。しかし、加入は2505事業所(加入率2%)にとどまった。このほかの指導も加入率は振るわず、巡回2.6%▽呼び出し3.9%▽戸別訪問5.9%--などだった。

 社保庁の指導強化は04年度から。05年度の対応については、総務省から「取り組みが不十分」と改善勧告も受けた。

 これに対し、社保庁は「立ち入り検査は05年度に始めたこともあり少なかったが、今年度は大幅に上回るのを目標としている」と説明する。一方で「記録漏れ対応に通常業務の職員も充てている」実態もある。05年度の指導結果は昨年6月にまとまっていたが、06年度分はまだ出ていない。

 厚生年金はすべての法人と従業員5人以上の個人事業所に加入が義務付けられている。しかし、保険料負担を嫌って加入しなかったり、違法に脱退するケースが後を絶たない。景気低迷の影響もあるが、加入事業所は97年度の170万社から05年度に164万社に落ち込み、保険料収入も6248億円減った。

 未加入事業所が事実上放置されてきたツケは国民に回る。

 静岡県の男性(63)は、34年働いた有限会社が未加入だった。男性は社長に数回、加入を直訴したが、社長は「給料が減るよ」と言うだけだった。会社は化粧品関連の卸売り。男性は営業担当だったが、社長が息子に代替わりし、「成果主義」が叫ばれるようになった3年前に退職した。

 男性は国民年金の保険料は納めていたので、2年後、国民年金は受け取れる。だが支給額は、厚生年金なら月約20万円だったのが、国民年金では6万6000円で、「若い時に分かっていれば」と唇をかむ。政府などは保険料未納企業の社員の救済を検討しているが、本人の厚生年金保険料の納付が前提で、男性は対象になりそうにない。

引用ここまで———-

 社会保険の未加入事業所についてです。以前にも書いたことがありますが、この問題はなかなか難しい問題であるといえます。税金に比べ、社会保険の会社負担については取締りが緩いということもあり、なかなか未加入事業所の加入は進みません。ただ、会社は社会保険に入っているということで給料から保険料を控除していたが、実際には社会保険に入っておらず、控除した保険料は会社のものとしていたという非常に悪質なケースを聞いたことがあります。保険証交付もありますので、分かる人はすぐに分かると思いますが、こういった事例については厳しく取り締まって欲しいものだと思います。

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特例法第1弾として時効分年金を145人に支給

読売新聞(2007/7/20)より引用———-

時効分年金 145人に支給

特例法第1弾 最高額は541万円

 社会保険庁は19日、年金時効撤廃特例法に基づき、145人に対し、時効となっていた年金の未払い分を支給すると発表した。同法適用第1弾で、20日に決定し、来月15日に支払う。

 対象は、男性83人と女性62人。平均年齢は74歳で最高齢は90歳。支給額は平均51万円、最高額は541万円で時効期間23年9か月分。支給総額は計7423万円に上り、年金保険料や税金で賄われる。特例法が施行された今月6日から18日までに、補償の申請は計3147件あり、今回の145件はその一部。

 5年間の時効が適用されず、年金が補償されるのは、社保庁のミスなどにより、年金記録の訂正を伴う場合に限られる。老齢年金受給者のほか、遺族年金や障害年金の受給者も対象になる。これらの年金受給者が死亡している場合でも、生計をともにしていた遺族には、本来の年金額との差額が未支給年金として支払われる。

 社会保険事務所などで申請する際には、基礎年金番号や年金コードが確認できる年金証書や振り込み通知書などを用意する必要がある。詳しい手続き内容は、最寄りの社会保険事務所や、ねんきんダイヤル(0570・05・1165)へ。

引用ここまで———-

 年金支給に関する時効撤廃に伴い、最初の支給が行われたというニュースです。年金時効撤廃特例法については法案の成立も早かったですが、今回の支給に関しても迅速な対応のように思います。ただどちらも選挙用の感は否めませんが・・。どちらにせよ年金受給者の方にとってこういった素早い対応というのはいいことだと思いますので、今後も政府には迅速な対応を期待したいものです。

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消えた年金記録の訂正申請受付がスタート

日経新聞(2007/7/17)より引用———-

「消えた年金記録」、訂正申請受け付けスタート

 「消えた年金記録」の該当者に年金を支給するかどうかを判断する「年金記録確認地方第三者委員会」への審査申し込みの受け付けが、17日午前始まった。全国の社会保険事務所309カ所と年金相談センター55カ所での窓口で申し込みを受け付ける。

 地方第三者委員会は全国で50カ所設置されている。申請する人は社会保険事務所などの窓口に行き、納付記録がないという回答があれば、記録訂正の手続きを申し立てることができる。申請者は年金手帳、家計簿や給与明細といった関連資料を提出し、第三者委は申し立てが「不合理でなく一応確からしい」と判断すれば記録訂正を認め、年金を支給する。

 東京・新宿の社会保険事務所の窓口を訪れた自営業の山田繁雄さん(72)は、1971年の1年間の国民年金保険料の納付記録がないが、「役所側の手続きミスは明白で、比較的わかりやすいケースのはず」と話した。

引用ここまで———-

 消えた年金記録いわゆる記録が漏れていると思われる年金記録についての訂正申請の受付が本日より始まりました。第三者委員会が記録訂正を認める判断基準は「不合理でなく一応確からしい」とかなりあいまいというか分かりづらい表現となっております。色々なケースを考えて、決められた基準だとは思いますが・・。とにかく訂正申請をするのは年金加入者ですが、記録漏れがあった場合、責任は社会保険庁の方にあるわけですから真摯な対応をしてもらいたいものです。

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確定拠出年金の運用放棄が7割増に

日経新聞(2007/7/16)より引用———-

確定拠出年金、「運用放棄」7割増

 確定拠出年金(日本版401k)制度で資金を運用しながら転職などで手続きを忘れ、「運用放棄」と見なされている人が2006年度に8万638人いることがわかった。国民年金基金連合会の調べで判明したもので、前年度より7割程度増えている。公的年金の記録漏れが問題となるなかで、制度の運営がうまくいかないもうひとつの年金問題ともいえそうだ。

 日本版401kは加入者本人や企業が毎月一定額を出し、積み立てたお金を投資信託や債券などで運用する仕組み。加入者が年金資金の運用先を自己責任で選べるようにするとともに、企業側の運用負担などを軽減するのが目的だ。すでに欧米など海外では普及が進んでいる。

引用ここまで———-

 確定拠出年金いわゆる日本版401kについてです。この年金制度は決まった年金額を受け取るのではなく、加入者本人が積立金を運用し、年金を積み立てていく制度として制度開始時、注目を集めた年金制度です。大企業を中心に導入が進められた制度でもあり、2012年に廃止される適格退職年金の受け皿としてもその役割を期待され、移行を行った企業も多いのではないでしょうか。ただ、まだ日本では歴史の浅い制度でもありますので、今まで退職金等については会社任せだった日本の風潮になじむのに時間がかかっており、今回の記事のような問題が起きてきているのかもしれません。加入者に対し、積立金は自分自身で運用しているのだということを強く認識させることがこの制度を浸透させる意味で大切になってくると思います。

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離婚時年金分割の相談が半年で3万件

毎日新聞(2007/4/30)より引用———-

離婚時年金分割:半年で相談3万件 訪問相談の8割は女性

 4月に始まった離婚時の厚生年金の分割制度について、社会保険庁に寄せられた相談件数は、昨年10月から3月までの半年間で3万1696件に達した。このうち、全国の社会保険事務所などを訪れたのは男性3408人、女性1万3421人と女性が全体の8割を占め、女性側の関心の高さを裏付けた。

 この制度は4月1日以降に離婚した場合に、専業主婦であれば夫の厚生年金(報酬比例部分)の最高で5割まで受け取れるもの。ただ、分割対象は婚姻期間に限られるなど制度が複雑なため、社会保険庁は昨年10月から情報提供窓口を全国の社会保険事務所に設置。電話などでも相談を受け付けている。

 東京社会保険事務局によると「自分はどれぐらい年金をもらえるのか」など給付に関する質問が目立つという。半年間では制度開始直前の3月が7188件で最も多かった。

 都道府県別では、(1)大阪3368件(2)東京3189件(3)神奈川3167件(4)埼玉2001件(5)兵庫1845件--の順に多かった。逆に少なかったのは、島根37件▽鳥取48件▽山形76件▽福井82件▽富山109件--など。人口比でも1けた違い、離婚時分割への関心は都市部の方が高いようだ。

引用ここまで———-

 ちょっと前の記事ですが、今年の4月から始まった年金の離婚時分割についてです。ワイドショーなどでもよく取り上げられていたようですが、やはり女性の方の関心が高いようです。現に今年の3月までの離婚件数が減少したという報道もあり、4月以降離婚を考えている方が差し控えたのではないかと言われています。私自身はこの制度について離婚を助長する可能性もあるので、あまり肯定的ではないのですが、厚生年金期間の不公平感をなくすための対策としてはこの相談件数を見る限り、有効なのかもしれません。しかし、この制度はテレビ等ではやや簡単に説明されていますが、なかなか複雑な制度です。この制度を利用しようと考えている方はよく内容を確認し、そして協議の上、行動に出て欲しいものです。

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