新入社員の58.4%が”失敗したくないので、責任ある大きな仕事は任されたくない”
先日、音更町の十勝川温泉で毎年開催されている光と音のイベント、彩凛華に行ってきました。農業資材で作られた三角錐のオブジェが立ち並び、色とりどりにライトアップされた幻想的な世界で現実逃避してきました。彩凛華という名称になったのは20年以上前のようですが、今では十勝の冬の風物詩として定着し、毎年とても盛り上がるイベントとなっています。

では今日の話題です。
●育成と評価
新入社員の約6割(60.8%)が「上手くいかない経験を通じて学ぶ」育成を支持する一方、58.4%は「失敗したくないので大きな仕事は任されたくない」と回答しました。「成長のために一時的な負荷増を受け入れる」とした割合は48.1%に留まり、挑戦を促す環境の重要性が示唆されます。また、Z世代は「行動や言動への自信」が世代別比較で最も低く(44.3%)、加えて、恥をかきたくない(70.4%)や他人の評価を気にする(66.4%)傾向も強く、前向きな一歩を踏み出しにくい状況が見受けられます。そのような意識の影響もあってか、2024年入社の新入社員では「何時間働いたか」「何年勤続したか」で評価されることを好む割合が44.5%と経年比較で最も高くなっています(20年比:+9.5%)。この結果は、若手世代が努力や勤続といったプロセスを重視する姿勢を反映しているといえます。
新入社員の6割近くが「責任ある大きな仕事は任されたくない」と回答したことは、かつて新入社員の美徳とされてきた「チャレンジ精神」や「自己成長志向」よりも、現在は「慎重さ」や「失敗回避」が優先されている傾向が浮き彫りになっています。
こういった傾向には、若年層が育ってきた社会背景も無関係ではなく、過度な成果主義やSNSでの炎上リスクなどが、失敗に対する恐怖を増幅させている可能性があるとも言われています。
会社側としては、この傾向を単なる「意欲の低下」と捉えるのではなく、教育体制や評価制度の見直しを迫られる機会と捉えるべきであり、新入社員にとって「責任ある仕事=一度の失敗が致命的」という認識があるとすれば、それを払拭するような環境作りが不可欠となります。
若手社員が主体的に動くには、「挑戦しても安全」と感じられる心理的安全性の確保が前提となることから、会社側としては責任押し付け型の仕事ではなく、共に業務に当たり、責任感を共有する体制作りが必要になるかと思います。今回の調査では若手世代が努力や勤続といったプロセスを重要視しているという結果も出ており、会社としてはこういった若手社員の仕事に対する心持ちや特徴を捉えた上で、その育成を考えていく必要があると思います。