中小企業の賃上げ率は正社員全体で4.03% 20人以下の小規模企業で3.54%
先日湧別町にある「かみゆうべつチューリップ公園」に行ってきました。普段は花を愛でるような感性はあまりないのですが、広大な敷地に多彩なチューリップがたくさん咲き誇っており、その壮大さに圧倒されました。展望台にもなっているオランダ風車からの風景も壮観でした。

では今日の話題です。
■2025年度の賃上げ実施状況
○「賃上げを実施(予定含む)」する中小企業は約7割、20人以下の小規模企業では約6割。
■正社員の賃上げ額・賃上げ率
○正社員の賃上げ率は4.03%。昨年調査から0.41ポイント伸び、4%台に。
20人以下の小規模企業では3.54%で、昨年調査からの伸びは+0.20ポイントに止まる。
賃上げ率が4%台、そして小規模企業でも3.5%台というのは、昨今のコスト上昇・人手不足など厳しい経営環境の下でも、一定の賃上げを実行しようという中小企業側の意思を示すものと言えるかと思います。実際、調査では「賃上げを実施(予定含む)」という回答が企業全体で約69.6%に上っており、賃上げに向けた具体的な動きが一定数存在すると報告されています。特に、賃上げを「人材の確保・採用」「物価上昇への対応」として捉え、実行に踏み切った企業も多いという声があり、経営資源が限られている中でも「賃上げ」という選択肢をとるという姿勢も浮かび上がります。
一方で、調査結果からは小規模企業(20人以下)における賃上げ率が全体平均と比べて明らかに低く、しかも前年対比の伸びも+0.20ポイントと控えめとなっています。これは、中小企業の中でも経営状況の厳しい小規模企業の状況を浮き彫りにしているとも言えます。調査の詳細を見ると、下請・取引価格への転嫁が難しい、原材料や人件費の高騰を自力で吸収せざるを得ない、景況感・先行き不透明という事情が重くのしかかっていることが伺えます。
「賃上げをしたいが、経営としては賃上げを維持するだけの収益構造・余力が整っていない」というジレンマが、小規模企業においてより顕著ということが数字に表れています。
4.03%(中小企業平均)および3.54%(20人以下小規模企業)という賃上げ率は、以前の賃上げ率と比べると高い水準と言えますが、大企業との賃上げ率の差異からは、小規模企業の厳しさが改めて浮かび上がっており、経営側からみれば「賃上げを維持できる体力づくり」こそが今後の課題となります。価格転嫁・生産性向上等を通じて、賃上げが「一時の対応」ではなく「持続可能な処遇改善」として定着するよう、計画的な取り組みが求められるかと思います。
